身体の冷え

● 夏なのに、身体が冷えていませんか?

アジサイがきれいな梅雨の季節となりました。

これから暑くなるというこの時期ですが、今回は「身体の冷え」についての話を一つ。

 

身体に良い食事を心がけて、「玄米食」を試して5年近く経ちますが、ここ数年、昔なかった体の冷えを感じるようになった。

といったお声をいただきまして。

 

季節を問わず、身体の末端である手足からではなく、身体の中心部(腹部)が冷えるとも。

 

確かに、玄米は、スーパーフードと言われるほど完全食に近い食べ物です。

ですが、人というものは、生まれも育ちも、生まれ育った環境も、ご先祖様が食べてきた食べ物も異なりますので、みんな身体の特徴は、十人十色。ちなみに、今食べているものは、7代先の子孫にも影響すると言われています。思った以上に、自分が「食べる物」は、重要だということに気付かされます。プラス、その時々の体調により、マクロビオティック創始者の桜沢氏が示した「無双原理」で言うところの、陰陽の傾き具合も異なります。

 

例えば、「鼻水」ひとつとっても、「水っぱな」でタラタラと、陰性寄りの鼻水だったり、色も黄色で粘り気のある、鼻に詰まりやすい陽性寄りの鼻水だったり。右の鼻から出てくるのか、左の鼻から出てくるのか、同じ鼻水でも、その状態によって、対処すべき方法が、陰陽異なります。

また、その鼻水が出てくる原因自体が、人により異なります。

 

それなのに、「玄米」さえ食べれば大丈夫!というのは、あまりにも安易過ぎるということに。これは、炭水化物ダイエット、果物ダイエットなども同様で、他人が成功したからといって自分の身体に当てはまるとは限らないということにも。自身の身体が、どんな身体なのか、何を欲しているのか?わかってあげることが、元気の秘訣でもあります。

● 「身体の冷え」にも、陰陽2種類が存在します。

陰性過多の状態による冷えであれば、玄米や味噌といった塩気のある陽性寄りの食事で対処します。が、過去に自身の消化力以上に動物性食品を摂取しすぎてきている場合、それらを体外へ排泄する前の段階では、玄米や塩などの陽性寄りの食養が、かえって症状を悪化させることもあります。

 

そのような、陽極まったパターンからくる「身体の冷え」の場合、マクロビオティックでは、あまりお伝えしない「無塩食」を、一時的に取り入れてから、玄米食にするといった方が良い場合も。無塩食にすることで、過去に体内に溜め込んだ塩気(陽性寄りの老廃物)を、使い、新たに昔ながらの製法で作られた塩や玄米を摂取することで、新しい細胞を作り替えるようなイメージです。

 

マクロビオティックは、玄米菜食が中心ではありますが、だからといって、基本食(玄米、味噌、醤油、塩、海藻類、野菜中心)を絶対強制するものではなく、陰陽調和に重きを置いて、自分の身体に正直に、臨機応変に対処することで、心身ともに「健康」を保つための考え方でもあります。

 

「玄米菜食を試しているのに、改善されない身体の冷え」の場合、一度試してみる価値はありそうです。

 

ちなみに、西洋医学的な診方となりますが、身体の冷えをもたらす「むくみ」の原因にも、ナトリウム(陽性)の過剰によるもの(血圧の上昇を伴うむくみ)と、ナトリウム(陽性)不足によるもの、両方存在するようで。両者、体内に水分を過剰に保つことでむくみとなり、それが冷却装置の役割を果たし、冷えをもたらすとも。

 

参考資料:2018年4月号 Macrobiotique食で変わるココロとカラダ

(磯貝昌寛の正食医学)

● 「かぼちゃ」を食卓のメニューにひとつ

これからの「夏」を代表するお野菜の1つに、「かぼちゃ」が。

 

夏は、心臓と小腸、長夏(または土用)は、胃と膵臓の季節でもあります。

胃がとかくもともと弱い人、胃が弱っている人は、どうも「甘いもの」に手が伸びるようで。ちなみに春の季節の肝臓が弱っている人は、「脂っこいもの」に手が伸びるようです。

 

それぞれの臓器が、消化すべきものがうまく消化吸収されていないと、体がそれを「足りない」と誤認識することで起こる状態とも。そのような感覚を本気にして、それらを、適当な食材(食品添加物が入った加工品など)で摂取し続けると、結局のところ、それぞれの臓器を更に弱らせる傾向に。

 

胃の弱さからくる「甘いもの」の欲求には、穀物が本来持つ甘味や、野菜本来が持つ甘味をしっかりいただくことで制御したいところ。玄米を代表とする雑穀などの穀物は、本来、消化器の入口である「口」の時点で、よく噛むことで、それらを消化吸収してくれる唾液に含まれる酵素により、より甘味を感じながら摂取できるようになっています。

 

そして、野菜で言う甘さを感じられるものの代表格に、「かぼちゃ」が。かぼちゃは、夏に旬になるお野菜。取り立てを食べるより、少し時間を置いた方がおいしくなる野菜でもあります。

 

かぼちゃは、その種も含め、リンパの流れを促進し、腎臓や副腎の機能を高める役割も。

 

甘いデザートが食べたくなった時は、蒸したものに一つまみの塩を入れ、さらしで絞って、茶巾としていただいたり。炒めた玉ねぎとともに、とろとろのスープにしたり。

 

食養としては、かぼちゃの種もおすすめの1品。ナッツ類には、めずらしく、脂質や糖質が少ない割に、鉄分を多く含むため、貧血気味の方にもおすすめの食材。炒ったものを、荒くみじん切りにし、生サラダの上に振りかけたり、カレーのトッピングとして振りかけたりも。

 

最近やり始めた「ベジチーズケーキづくり」講座でも、タルト生地部分に「かぼちゃの種」を使っています。ナッツ類ですので、摂取しすぎるのはカロリーオーバーという点でもオススメできませんが、女性におすすめの食材です。 

 

胃が弱いと感じている方は、ぜひ、少量、お試しくださいね。

他のナッツと、栄養素を比較したグラフです。他のナッツ類と比べて、脂質、糖質が低いのに、鉄分が豊富なのがわかります。

自然療法で取り入れられている「びわの葉」も、体温を上げるために注目されています。マクロビオティック的な陰陽で診ると、大きめで空に向かって開く葉なので、やや陰性寄りとなりますが、日に干すことにより陽性さをプラスしたお茶となっています。


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コメント: 8
  • #1

    まる (火曜日, 24 11月 2020 06:11)

    長年、末端冷え性がひどいです。
    痩せ形で低体温でもあるのですが、長年大量に動物食のみを食べてきたので、今、陰性よりの食事と陽性よりの食事とどちらがいいのか迷います。
    無塩食をする自信はなくて・・・。
    その場合、中間的に?食べていけばいいのでしょうか?

  • #2

    管理人:aoki (水曜日, 25 11月 2020 00:51)

    >まるさん
    コメント、ありがとうございます(^^)
    「末端冷え性」とは、手足などの末端の冷えということでOKかしら?

    実は私もその傾向があります。私の体内にも、おそらく、過去に過剰に摂取してきた「塩気」「動物性食品」(給料日には焼き肉や、寿司屋へ足を運んでいた過去があります)が残っているため、アルコールやチョコレートなどの甘い物の欲求が強いと感じています。これが汚血の原因と、末端の冷えの原因にもなっています。(わかっていますが、やめられず、ダメな事例ですね)

    動物性食品の過剰摂取は、陰陽の定理の中の、陰は陽を、陽は陰を欲するというものに当てはまりまして、極陰の食べ物(果物やスイーツや砂糖菓子、飲料水やコーヒー、アルコール等)も食べたくなる傾向が強いと言えます。そのため、陰陽両極端の食事が消化器官の負担を大きくしてきたと見ることも。

    この場合の冷えは、陽性過多による冷えの可能性が高いため、体調の陰陽を整えた上で、体内に蓄積されている陽性なものを体外へ出していく、比較的長期的な調整が必要になるのではないかと。
    体調の陰陽は、以下のcheckerを試してみてくださいね。
    https://quiz.tryinteract.com/#/5c9ccb6278d15e0014c6a495

    また、これからの季節は寒い(陰)の季節となりますので、今、陰性寄りの食品を摂取しすぎると、体調の陰陽が崩れ、体調不良の原因になる可能性があることも考慮した方が良さそうです。

    体内の動物性食品の排泄を手伝ってくれるのは、マクロビオティックの基本食でもありますが、全粒穀物や野菜類です。食べてみて美味しい場合は別ですが、生で食べるのではなく、熱を加えることで、陽性を少しプラスして食べるのが、この時期には無難ではないかと思います。

    陽性な塩をなるべく避けたいので、ドレッシングなどには、リンゴ酢・生姜・胡椒といった陰性な調味料を上手に使うことをオススメいたします。また、調味料として使う塩は、肉食が多かった人は特に、にがりの多い自然塩は、かえって身体を硬く(極陽)してしまう可能性が高いため、にがり成分の少ない且つ塩化ナトリウムだけではない、「岩塩」がオススメです。

    肉類には塩(現代食は、主に塩化ナトリウム)が付き物ですし、おそらく私と同じように、体の奥底にそれらがたくさん蓄積されていると予想されます。

    1日だけの塩断食などはとてもオススメですが、それをやるには、外食や中食、コンビニやスーパー、全て使えない環境に身を置くことが必須となりますので、お仕事や学校がお休みの日に試してみるなどからでも。(塩は体内に必須なミネラルでもあるため、過剰な塩断食は、危険が伴いますので、本格的に数日等行いたい場合は、専門家のいる道場などでチャレンジすることをオススメいたします。希望であれば、断食道場を実際に行っている先生をご紹介させていただきます)

    ともに、体調管理、楽しみましょう!p(^^)q

  • #3

    まる (水曜日, 25 11月 2020 05:30)

    返信ありがとうございます!!
    丁寧なコメントに本当にうれしいです!!

    今は完全お菓子も動物性も食べていません。もう少しで1年くらいです。
    それまでは長年お菓子過食、そのあと、お菓子を断つと同時に、動物性たんぱくばかり、長年過ごしてきました(過食10年、動物たんぱく大量摂取8年)。
    今は 発芽米ともち麦のごはん、具だくさん味噌汁(8種類~)小豆かぼちゃ(唯一これにはみりんとラカントで甘くしてしまいます)、納豆、と、我慢も全くなく、とてもおいしくて満足しています。穀物、野菜(根野菜も葉野菜も)、海藻、しっかりとってます!
    刺身が大好きで過去、一生分以上の刺身を毎日とっていたときは、玉ねぎなどの生野菜おいしかったですが、今は全く欲っせず、味噌汁がおいしいです。

    末端冷え性はおっしゃる通り、手足です。足指は夏でも冷たくて、足首から冷えるので足首の浮腫みもあります。手も、手首から手先にかけて冷たくて辛いです。勿論、ネックウォーマーやレッグウォーマーなどもしていますが、電気毛布や靴用カイロは必需品となってます。

    末端冷え性は陽性よりの冷えとなっており、でも、低体重 低体温 低血圧など見ると、陰性体質なので陽性のものを・・となると、どちらを重視したらいいものかと。。
    動物性たんぱく、生野菜、を止めてる最低限の今の状態を続けていけばいいものか、もうちょっとどちらか重視にしたほうがいいのか 迷うことがあります。
    色々不調(乾燥肌、偏頭痛、魚の目、抜け毛、無月経(過食時から・・)疲れやすい等)あるのですが、一番辛いのは末端冷え性です!!

    まとまらない文章ですみません。ありがとうございました。

    最後に。
    ともに、大量管理、楽しみましょう!というセリフに本当に感動しました(*´▽`*)



  • #4

    まる (水曜日, 25 11月 2020 09:54)

    大量管理ってΣ(・□・;)
    体調管理です・・(*ノωノ)感動した文章を間違えてお恥ずかしい~失礼しました(^-^;

  • #5

    管理人:aoki (水曜日, 25 11月 2020 15:13)

    大量管理!(*Ü*)も、実は大事かも(*Ü*)

    私も誤字脱字の多い1人でして、あまりお気になさらずにどうぞ。

    少し前までは、私も、動物性タンパク質が悪さをしているのでは?という考えがありましたが、マクロビオティックオンリーではない、医師のお話で、タンパク質の善し悪しは、動物、植物の種類は関係ないという事を知りました。

    問題なのは、動物性は、栄養価の高すぎるものが、沢山含まれているため、本来、必要のないものまで、体内に取り込むことが、バランスの崩れに大きく影響しているという点です。

    これらが、運動などで、消化されていれば問題はないのですが、それらを消化するタイミングなく、老廃物となり、体内に蓄積されていくと、心身ともに病み始めるのかと。

    生野菜は、マクロビオティックでは基本的に、あまりオススメしていませんが、

    私のように過去に沢山、極陽な動物性食品を摂取してきた経緯のある人は、むしろ、食べた方が良いパターンが多いです。

    おさしみを多く食べていらしたのであれば、大根おろしを使ったメニューがオススメです。

    また、マクロビオティックで勧めている、お味噌汁や海藻類も、私と同じパターンの人は、程度を見極めないと、更に冷えの原因となる場合もあります。

    あくまでも、ご自身の体と対話しながら、食養を進めるのがポイントです。

    少し面倒ではありますが、お休みの日にでも、陰陽両方のメニューを用意して、空腹時を待ってから、食べ比べ、美味しい方が、ご自身の身体が本来欲している陰陽加減として、チェックしてみることも、ぜひ試してみてくださいね!
    (だしで言うと、昆布だし▲が美味しく感じるのか、椎茸だし▽が美味しく感じるのか?)

  • #6

    まる (水曜日, 25 11月 2020 17:03)

    ありがとうございます!!
    大量の魚も肉も食べていましたが、今は食べたいと思わないんですよね。
    そして、大根おろしも読んでるだけで寒いって思ってしまって(*^。^*)
    干し大根なら味噌汁に入れて美味しく食べてます♪

    末端冷え性なので、あまり陽性にしないようにしたほうがいいのですかねぇ。難しいですねぇ。
    体に従ってっていうのはわかります。夏はオクラとか美味しかったですが、今はゴボウや干し大根の方がおいしく感じますし。

    発芽米ともち麦の割合ももち麦3割がいいか5割がいいか 迷うところです。

    ネットでみると、発芽米と大麦(もち麦)では、発芽米の方が陽性という表と、その逆で、大麦のほうが陽性という表があり、どちらが本当なのか、混乱したり。。

    生野菜は食べたいと思わないのですが、その他はどれも美味しく食べていて(;^ω^)
    ですが、末端冷え性の辛さが本当にあるので、これでいいのかなぁって迷いますね。
    体と対話してというなら今美味しく食べているのですが、その一方で、過去の影響あるから~と言われると、どうしていいのか。。

    コメント本当にありがとうございましたm(__)m

  • #7

    管理人:aoki (木曜日, 26 11月 2020 09:52)

    いえいえ、こちらこそ、コメント、ありがとうございます(^人^)
    こういうコメントがまだなかなかないのですが、実は、運営側の励みになっております!感謝!

    >低体重 低体温 低血圧など
    これらが必ずしも陰性体質とは限らないのではないか?と個人的に、診ております。
    陽性過多の人で、痩せている人も太っている人もおりますし、血圧も体温も、十人十色で、血圧が高いことが平均的な人でも健康を維持している人もおりますし、その逆も。
    その人にとっての標準が、一般の人の標準と比べて高低があるだけではないのかな?とも思っております。

    やはり、一番は、自分自身(自分の中身)をわかってあげられるように、自身の感度を高める行為が最終的に、自分を助けてくれるのだろうなと。

    現代人の食生活は、極陰と極陽が入り混じり、マクロビオティックができた頃からすると、薬を含め人工的な飲食物が大量に摂取&接触せざるを得ない環境に変化していますので、大分複雑になってきていると思います。単純な陰陽では解決しにくい状態になってきているとも感じています。

    それもあり、私もそうであるように、ご自身の陰陽がわからなくて迷う事は多々あると思いますが、結局のところ、自分自身をわかってあげて、労わってあげられるのは、自分自身でもあります。

    くじけずに、トライ&エラーで!(^^)!
    ではでは、素敵な木曜日を!

  • #8

    まる (木曜日, 26 11月 2020 17:22)

    ありがとうございます!!
    aokiさんの記事、本当に為になりますよ(*^^)v
    運よくこちらに出会えて本当にラッキーでした。そして、こうしてコメント下さいまして、ありがたいですm(__)m

    読んでいて、なるほどぉ~と思いました。
    逆にいうと、末端冷え性だから陽性の冷え性とは限らないかも・・・?
    難しいですねぇ。
    ただ、今、美味しいと思えるので それは合ってると思っていいのかなぁと思ってみたり。
    今、極端に陽性よりの物にしているつもりも、陰性よりの物にしているつもりもないのですが、
    実際自分がどうなのか、そして今の食事もどうなのか、正直わかりません。
    また、過去めちゃくちゃな食生活だったので、その影響となると、これまた余計複雑に。。

    末端冷え性が本当に辛いので、どうにか治したいのですが、今の食生活でいいのか・・。
    美味しいと思って食べてることが労わってると解釈していいなら(笑)このまま続けていこうかなぁ(*ノωノ)
    また不安になってコメントさせて頂くかもしれませんが(;^ω^)

    ありがとうございました(*´ω`*)